成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点②
成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点①もご覧ください。
成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点の2つ目としては、「親族後見人が後見人である場合の遺産分割協議」です。
例えば、父A・母B・子C、子Dという4人家族で、母Bが子Cの後見人に就任している場合に、父Aに相続が発生(死亡)したとしましょう。
この場合、相続人はB・C・Dなので、この3人で遺産分割協議を行う必要があります。
しかし、「成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点①」でも申し上げた通り、被後見人であるCは遺産分割協議に参加することはできず、後見人が代わりに遺産分割協議に参加することになります。
そこで、上記のようなケースでも後見人であるBがCの代わりに遺産分割協議に参加すればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、今回のように被後見人(C)だけでなく後見人(B)も相続人に該当するような場合、BはCの代わりに遺産分割協議に参加することはできません。
なぜなら、利益相反行為(一方の利益が他方の不利益に繋がる)に該当するからです。
Bは自分の相続分を多くするためにCの相続分を不当に少なくするような遺産分割協議を成立させてしまう可能性もあります。
このような利益相反行為に該当する場合には、裁判所に特別代理人選任の申立てをして、Cに特別代理人という代理人を付ける必要があります。(※)
そして、当該特別代理人が本人(C)に代わって遺産分割協議に参加することになります。
なお、特別代理人は遺産分割協議が終わったら役目を終えるので、任務終了となります。
※ 後見監督人がいる場合には後見監督人が遺産分割協議に参加することになりますので、特別代理人の選任は不要です。