成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点①
被後見人(認知症などの判断能力が低下している者)が相続人になる場合があります。
通常、相続が発生した場合には、相続人全員で遺産分割協議(遺産の分け方についての話し合い)をして、相続の方向性を決めていきます。(※)
※ 亡くなった方が生前に遺言書や家族信託(民事信託)をしていた場合は遺産分割協議をやらなくていい場合もあります。
しかし、被後見人は判断能力を欠いているため遺産分割協議に参加することはできないとされているので、代わりに後見人が遺産分割協議に参加することになります。
さて、この場合に注意しなければいけないことは、「後見人は被後見人の法定相続分の財産を確保しなければいけない」という事です。
後見人は被後見人の代理人です。
ですので、代理人として本人(被後見人)が法的に有する権利(法定相続分)を相続放棄したり、不当に少ない相続分で合意したりすることは許されません。(※2)
※2 合理的な理由があれば、法定相続分以下の協議内容等でも裁判所が認めてくれる場合もあります。
ちなみにですが、成年後見人が遺産分割協議に参加するに当たっては裁判所の許可は不要です。
しかしながら、後見事務を行う中で、遺産分割協議について裁判所に事前報告をするなどの対応をした方が無難かと思います。