定款に定める公告方法はどうすればいいですか?
会社は、公告方法として次の3つのいずれかを定款で定めることが出来ます。
① 官報に掲載する方法
② 日刊新聞紙に掲載する方法
③ 電子公告
公告方法についての定めが定款にない会社は上記①の方法によるものとされます。
なお、官報とは政府の発行する新聞のようなものです。(読んでる人はほとんどいません。)
公告とは・・・
世間に向けて一定のお知らせを行う行為です。
代表的な公告としては「決算公告」があると思いますが、その他にも、会社合併の際に行う合併公告や、資本金の額の減少の際に行う減資公告、解散する際に行う解散公告など、様々な公告があります。
そして、これらの公告を上記①~③の方法によって行うことになります。
公告の種類
1.官報
上記でも述べたように、官報とは政府の発行する新聞のようなものです。
公告費用は載せる記事の量等によって異なりますが、決算公告の場合には、官報掲載費用として約7万円~がかかります。
(組織再編の際の公告や減資公告の場合等には、約15万円~がかかります。)
毎年しっかりと決算公告を行う場合には、その分費用が発生することになります。
また、官報公告の場合は掲載までに1~2週間程度要します。
一般的に官報を公告方法とする会社が多いです。
2.日刊新聞紙
時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙のことで、いわゆる日経新聞等の一般紙を指します。全国紙のみならず地方紙でもOKとされていますが、スポーツ新聞や企業などが独自に発行する企業内新聞の類は含まれません。
掲載費用は官報による公告よりも高い(全国紙の場合は官報公告の約10倍と言われています。)ため、当該公告方法を採用している会社は多くありません。
なお、合併公告や減資公告を行う際に、各債権者への個別催告を省略するために、定款変更をして公告方法を「日刊新聞紙」に一時的に変更することはあります(いわゆる「ダブル公告」)。
3.電子公告
インターネット上(自社HPなど)で公告をする方法です。
費用は、ホームぺージの維持費(サーバー代やドメイン代)が発生するだけなので他の2つに比べると1番安いです。
なお、電子公告を採用すると次のようなデメリットもあります。
【決算公告の場合】
・貸借対照表(大会社の場合は損益計算書も。)の全文を公告する必要がある(官報や日刊新聞紙での決算公告の場合は要旨で足ります。)
・定時株主総会終結の日から5年間掲載し続けることが必要
【その他の公告(合併公告等)の場合】
・調査機関の調査費用が数万円~数十万円かかる。
※ 登記申請の際に法務局に提出する「公告をしたことを証する書面」として調査機関による調査報告書が必要になります。
どの公告方法がいいのか
費用面で一番安く済むのは、「決算公告は電子公告で行い、その他の公告は官報公告にする」という方法です。
登記上は次の2つが登記されます。
・公告をする方法(官報:決算公告以外の公告として)
・貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項(電子公告のURL:決算公告として)
なお、合同会社の場合、決算公告の義務はないので、公告方法として「官報」とする会社さんが多いです。
◆参考条文◆
会社法440条、939条、940条