破産者は取締役になれますか?
「取締役になれる人の条件はありますか?」にもあるとおり、破産者は取締役の欠格事由に該当しません。
では、破産手続開始決定を受けた者(自己破産をした者で復権を得てない者)を取締役に選任することはできるのでしょうか?
はい、できます。
一方で、現に取締役である者が自己破産をすると話が違ってきます。
取締役の地位は会社との委任契約で成り立っています。
取締役は会社から取締役になるように委任されているわけです。
そして、民法では委任契約の終了事由として次の3つを定めています。
・委任者又は受任者の死亡
・委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと
・受任者が後見開始の審判を受けたこと
そうです、上記のとおり破産手続開始決定を受けることで、会社と取締役の委任契約は終了します。ということは、取締役としての地位も失います。
しかし、取締役の欠格事由に「破産者」は該当していません。(「取締役になれる人の条件はありますか?」をご覧ください。)
つまり、現に取締役である者が自己破産をして取締役の地位を失っても、再度、株主総会で取締役に選任することは可能ということです。破産者を取締役に選任するかどうかの実務的な問題は置いておいて、理論上は破産者を取締役に選任することは可能ですし、法的にも問題はありません。
まとめますと次のようになります。
・破産者を取締役に選任することは可能
・現に取締役である者が自己破産をした場合は、一旦は取締役の地位を失うが、再度選任することで取締役に就任することが可能
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