信託契約書は公正証書で作成しなければいけませんか?
信託契約書は公正証書で作成しなければならないわけではありませんが、トラブルを回避するためにも公正証書で作成するべきです。
信託契約による信託とは、委託者と受託者との契約によって信託を設定するものです。
そして、信託法は当該信託契約書について特別の定めを設けていないので、方式や書式は自由です。口頭(口約束)だけでも成立します。
しかしながら、それは売買契約や贈与契約等でも同様です。
通常の売買契約や贈与契約の場合、契約書を作成します。これは、後々の予期せぬトラブルを防ぐためにしっかりと書面にしておくことが大事だからです。
売買や贈与等の場合には、契約書を公正証書で作成することはまれですが、信託契約の場合は別です。
家族信託においては、不動産や預貯金等の多額の財産を信託財産に組み入れ、生前の相続税対策や死亡後の資産承継を長期的なスパンで実行していくことも珍しくありません。
その中で、家族や親族がモメることも十分にあり得ますし、私文書で作成した場合は信託契約書の内容が改ざんされてしまう危険性も考えられます。
そういったことからも、信託契約書は公正証書で作成し、公証人のお墨付きをもらっておくことで、健全な信託スキームを実現することが重要になってきます。
また、信託財産に「現金」がある場合、金融機関に信託口口座を開設してもらう際に、公正証書の信託契約書でないと応じてくれない金融機関もありますので、そういった場合にも公正証書にするメリットはあると思います。