受託者が借り入れをした債務は、債務控除できますか?

受託者は、信託目的に従い信託事務を行います。

その一環として受託者が、信託財産である不動産の建替え大規模修繕を行うために銀行から融資を受ける、または、投資用不動産などを購入するために銀行から融資を受ける、ということもあるかと思います。

もちろん、信託行為の中で受託者に対して上記の行為を行う権限が与えられていることが前提です。

 

金融機関から融資を受ける場合、受託者が申し込みをして、受託者が金銭消費貸借契約を締結し、受託者が担保権設定契約書への調印を行います。

なお、この際には、受託者の署名は「委託者〇〇信託受託者〇〇」などのように信託事務の一環であることを明確にするための署名を行います。

そして、この受託者が行った借り入れは、受益者死亡時に債務控除できるのかというと、できます。

 

そもそも、信託行為において信託財産に属するべきものと定められた財産や、信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産などは信託財産に属する(受益者のものになる)とされています。

例えば、受託者が信託財産である現金を使って不動産を購入した場合、当該不動産は当然に信託財産(受益者のもの)となります。

そうであるならば、信託事務の一環として受託者が借り入れた債務も当然に受益者のものになると考えるのが自然です。

 

しかし、信託財産に属する債務を無条件で全て債務控除できるというわけではありません。

相続税法14条との兼ね合いから、債務について信託財産をもって弁済することができないと見込まれる場合、相続・遺贈を受ける者が負担することが明確になっていないと、債務控除をすることができない可能性もあります。

この税務部分は税理士や税務署に確認しながら進めていくことをおススメします。

 

 

 

参照:国税庁HP

(共通)

41 個人(相続税法(昭和25年法律第73号)第66条((人格のない社団又は財団等に対する課税))の規定により個人とみなされる人格のない社団等を含む。以下同じ。)が相続、遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(死因贈与を除く。以下同じ。)により信託受益権を取得した場合(相続税法の規定により遺贈又は贈与により取得したものとみなされる場合を含む。以下同じ。)には、当該個人が当該信託受益権の取得をした時において、当該信託受益権の目的となっている信託財産の各構成物を取得したものとして相続税又は贈与税の課税価格等の計算をする。

 この場合において、取得した信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、当該個人は、当該信託受益権の目的となっている信託財産の各構成物につき当該信託受益権の割合に相当する部分の取得をしたものとする。

 

(信託財産に帰属する債務がある場合)

42 信託受益権を相続税法第13条第1項((債務控除))に規定する相続又は遺贈により取得した場合において、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務があるときは、当該債務は、当該信託受益権を取得した者の相続税の課税価格の計算上、同項第1号又は第2項に掲げる債務に該当するものとして同法第13条及び第14条((控除すべき債務))の規定を適用するのであるが、この場合における相続税の課税価格の計算上控除すべき債務の範囲については、次の諸点に留意する。

1)  信託財産に帰属する債務とは、その信託財産の取得、管理、運用又は処分に関して受託者が負担した債務(公租公課を含む。)及び受益者が支払うべき信託報酬(同法第13条第2項に該当する者が信託受益権を取得した場合にあっては、同項第1号から第3号までに掲げるものに限る。)をいうこと。

2)  信託財産に帰属する債務が同法第14条第1項の「確実と認められるもの」であるかどうかは、その信託受益権を相続又は遺贈により取得した時の現況によって判定すること。

3)  取得した信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、控除すべき債務は、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務のうち当該信託受益権の割合に相当する部分に限られること。

 

43 信託受益権を贈与により取得した場合において、当該信託受益権の目的となっている信託財産に帰属する債務があるときは、その者が、その債務(当該信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、その債務のうち当該信託受益権の割合に相当する部分)の額に相当する対価の額によって当該信託財産の各構成物(当該信託受益権が割合をもって表示されているものであるときは、当該各構成物につき当該信託受益権の割合に相当する部分)を取得したものとして、相続税法第7条((贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合))の規定を適用する。

 

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