受託者として信託事務を遂行する自信がないのですが?
家族信託において、受託者は信託の目的を達成するために最も重要な人物と言っても過言ではありません。
受託者は、信託の目的を達成するために必要な行為をすべき義務を負います。その他にも信託法には受託者の義務や責任が多く定められています。
しかしながら、受託者は全ての義務や責任を一人で負い、信託事務を最初から最後まで一人で行わなければならないというわけではありません。信託行為の中で受託者の義務や責任を(全てではありませんが)軽減・免除することも可能とされています。
信託の当事者である受託者になるのは一般の方が大半です。
その中では、受託者が信託についての知識が豊かであるとは言えない状況もあります。(もちろん、信託に関わる司法書士等の専門家は、契約当初の段階でしっかりと説明をしなければいけませんが。)
また、信託の仕組みや効果を全て把握した上で信託事務を受託者が遂行するというのは、社会の多様化・専門化が進んだ現代においては非常に難しいものがあると思います。
そこで、家族信託においては、受託者は、一定の条件のもと信託事務の処理を第三者(信託事務処理代行者)に委託することもできますし、受託者を一人ではなく複数人選任することで相互に協力しながら信託事務を進めていくことも可能です。
他にも、「信託監督人」・「受益者代理人」などを置き、受託者が適正な信託事務を遂行しているかのチェック体制を設けることや、「同意権者」(受託者による信託財産の管理・処分等についての同意をする者)、又は「指図権者」(受託者による信託財産の管理・処分等について指図する者)などを置くことにより、受託者の行為を監督することができます。
これらは、受託者をサポートするだけではなく、受託者の身勝手な暴走を防ぐためにも重要な仕組みです。
家族信託では、信託の目的を達成できるように、受託者に対する相談や支援ができる体制を整えることが重要になってきます。受託者になる方は、一人で全てを背負い込まず、周りのサポートを受けながら信託事務を遂行するようにしましょう。