ペットと相続 ~民事信託の活用~

ペットブームと言われるご時世ではありますが、犬の飼育総数は2008年頃がピークで、その後年々減少し、猫に関しては横ばい傾向のようです。 

但し、ペット関連商品の充実により、世帯あたりのペット関連の支出は増えているとのことで、ペットへの思い入れが昔より強くなっているような気がします。 

また、人と同じように、犬・猫の世界でも高齢化・長寿化が進んでいるというデータもあります。 ペットフードの充実、医療技術の進歩等、人と同様の現象が起きています。 


その中で、

ペットのために財産を遺したい
自分の死後のペットのことが心配だ
 

などのお悩みを抱える方が増えているような印象です。 

 

ットは家族です。 
私自身もペットを飼っていたのでわかりますが、そのような想いを抱くのはなんら不思議ではありません。しかし、その想いの実現には法律上の壁があります。 

犬や猫などは法律上は「物」として位置付けられているのですが、現在の日本では、遺産(財産)は「物」に対して相続させることはできません。 
遺産を相続させることができるのは「人」だけです。 

つまり、「不動産や預貯金をペットのポチに相続させる。」という遺言書を遺したとしても、その遺言書は法的効力を生じません。 


では、ペットのために相続財産を遺すにはどうすればいいのでしょうか? 

ペットに対して直接的には相続させることができないので、間接的に相続させる方法しかありません。 

自分の死後、残った家族や親族にペットの世話等を頼めればそれが一番いいのですが、うまくはいかないご事情もおありかと思います。 

そんな場合にはいくつか方法は考えられます。
 
ペットの飼育をすることや、動物愛護施設やペットショップに引き取ってもらうための手続きをすることを条件に財産を相続・遺贈(負担付遺贈)する方法、または死後事務委任契約によってそれらを委任する方法などが考えられますが、いずれもそれがちゃんと履行されるか不安が残ります。 

そんな中、ここ最近では民事信託(家族信託)をペットに関する相続でも活用する動きが出てきています。 

ペットと民事信託(家族信託) 

自分が認知症になった後、または自分が亡くなった後、ペットの世話をすることができなくなった場合に備えて、民事信託(家族信託)を利用します。

【相談事例】

配偶者に先立たれた独居のAさん(75歳)は犬の「ハナ」を飼っています。
子供2人(息子と娘)は結婚して家を出ていて、息子は車で30分ほどのペット不可のマンションで暮らしてします。娘は外国で暮らしています。

Aさんは自分の死後や、認知症になった場合のハナのことが心配です。

子供達にハナの世話を任せることはできない状況なので、お世話になっているペットショップや、動物愛護施設に引き取ってもらうよう事前に話をつけておきます。
また、その中で里親なども見つけてもらえたらとも考えています。

【家族信託の活用】

委託者:A

受託者:息子

受益者:A

第二受益者:息子・娘

信託財産:ハナ(法律上は動産)、現金

信託期間:ハナが死亡するまで。ハナの里親が見つかるまで。

残余財産:息子に帰属

【解説】

Aと息子の間で、ペットのハナと現金を信託財産とする信託契約を締結します。

ハナの世話に必要な費用は、信託財産である現金(信託金銭)から出すようにしておき、また、Aが健在なうちはAが自由に信託金銭を引き出せるようにしておきます。 

Aが認知症になった場合にはA及びハナのために、またAが死亡した場合にはハナのために、受託者である息子が信託金銭を管理します。
そして、事前に話を付けておいたペットショップや動物愛護施設に、ハナの引き取り手続きを行い、毎月の飼育費用を信託金銭から支払うようにしておきます。

もし、里親を見つけてくれた場合は、里親やペットショップ・動物愛護施設にその謝礼を出すことも検討していいかもしれません。

ハナが死亡した場合、またはハナの里親が見つかった場合には信託を終了させ、残余財産は信託事務を行ってくれた息子に帰属するようにしておきます。

なお、この際、Aの認知症対策として任意後見契約を同時に締結することや、Aの他の財産について公正証書遺言を作成することも検討する必要があるでしょう。 


※ 目的信託との兼ね合いから、ペット自体は信託財産とせずに、ペットの飼育費等に使用を限定した金銭のみの信託も考えられます。あくまでも、ペットの飼育をする者への資金援助としての信託を組成することが必要だと考えます。

まとめ

上記事例はあくまでも一事例です。

もしAが不動産を所有していれば、当該不動産を信託財産に組み入れることも考えられますし、また、子供がペットを引き取ってくれるのであれば受託者(子供)に対する信託報酬を検討する等、多くのパターンが考えられます。

 

ペットは家族です。

自分が世話をすることができなくなった後のペットが幸せに暮らせるようにするにはどうすればいいのか、飼い主にとっては大きな悩み事だと思います。

ペットは自らを守ることはできないので、人が守ってあげなければいけません。

法的問題を考えることなく、ご家族や知り合いの方が引続き世話をしてくれればいいですが、そう簡単にはいかない場合もあります。

飼い主の意向やペットの幸せを考えた上で、各種団体と協力することや、法律の面からペットを守れるように検討することが大事なんだと思います。

 

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