自筆証書遺言とは?

遺言者が、その全文日付及び氏名自書し、これにを押したもの。(民968条)


条文ではこのように説明されていますが、ちょっとこれだけだと情報が足りないですね。
それぞれ、詳細を見ていきましょう。

(1)全文の自書とは・・・

  1. 自らの手で筆記すること。
  2. 手を用いることができない者が口や足で筆記した場合も自書と言い得る。
  3. 筆記に他人の補助が必要となる者が、他人の補助(添え手)を受けて書いた遺言は原則無効。

次の要件を満たした場合は自書として有効となる

(a)遺言者が証書作成時に自書能力を有すること
(b)他人の添え手が、単に始筆や改行にあたり、若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に置くにとどまるか、または遺言者の手の動きが遺言者の望みに任されており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであること
(c)添え手をした他人の意思が運筆に介入した形跡がないことが筆跡の上で判定できること

(最一小判昭和62年10月8日民集41巻7号1471頁)

  1. パソコン、タイプライター、点字機など機械を用いた遺言は無効。

平素専らタイプライターを使用している外国人がタイプライターを使用して作成した遺言書は自書に匹敵するとして有効。

(東京下級審昭和48年4月20日家月25巻10号113頁)

  1. 一部が自書でない遺言書はその有効性について判例(高裁)が分かれている。
  2. 外国語でもOK。

(2)日付の自書とは・・・

有効な日付の記載・・・○
無効な日付の記載・・・×

平成29年6月 遺言太郎 ×
平成29年6月14日 遺言太郎
平成29年6月吉日 遺言太郎 ×
75歳の誕生日 遺言太郎
ソチオリンピック開会式当日 遺言太郎
  1. 日付も自書が必要であり、スタンプ等を持ちることはできない。
  2. 日付を記載する場所は特に指定はない。

⇒ 年月日が正確に判明するように書くことが重要です。

(3)氏名の自書とは・・・

  1. 氏名は姓と名前とを併記することが原則
  2. 氏又は名の一方のみでも遺言者を特定できる限り有効
  3. 通称やペンネームでも遺言者を特定できる限り有効
  4. 氏名も自書が必要であり、スタンプ等を用いることはできません。

(4)印とは・・・

  1. 実印である必要はなく、認印・拇印(指印)でもよいとされています。
    但し、争いを避けるために実印で押印すべきです。
  2. 押印の場所に指定はない。→名前の後に押すのが一般的です。
  3. 花押(かおう)は押印の要件を満たさないとされています。

重要な文書には、署名し押印することで完結させるという慣行がある。
花押を記して文書を完成させるという一般慣行はわが国にない花押は押印と同視することはできない。

(最高裁第二小法廷平成27年(受)第118号判決)

この判決には認印でもいいのに花押がダメなのはおかしいと批判する法律家も多いです。ちなみに、外国人のサインをOKとした下級審もあります。

(5)その他

  1. 自筆証書遺言が有効にするためには、検認手続きを行い検認済証明書を発行してもらうことが必要です。
    1. 遺言者の死亡後に、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に検認申立てを行う。申立てを行うのは、遺言書を保管してた者又は相続人。
    2. 申立後,相続人に裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知がくる。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは,各人の判断に任されており,全員がそろわなくても検認手続は行われる。
    3. 遺言書1通につき800円+検認済証明書150円
  2. 遺言書が封筒に入ってる場合
    ⇒ 家庭裁判所にて開封しなければならない。勝手に開けた場合は5万円以下の過料に処せられる可能性があるので注意が必要です。
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