預貯金の解約払戻し後に借金があることが判明。相続放棄できますか?
解約・払戻手続きをしても、相続放棄ができる可能性はあります。
相続放棄は無制限にできるものではなく、一定の要件を満たしていなければできません。
その要件の中に「相続財産について処分行為をしていないこと」が挙げられます。
処分行為とは、わかりやすい例で言いますと、遺産を私的なものに消費してしまうような場合を言います。
どのような行為が処分行為に該当するのかどうかは、判例等である程度の判断基準が示されています。
故人の相続財産について処分行為をすると相続をしたとみなされますので、それ以後相続放棄をすることはできなくなります。
一方で、故人の相続財産から葬儀費用の支払いをするなど、一定の処分行為をしても相続をしたとみなされない行為もあります。
この場合には、相続放棄をすることも可能です。
そして、故人の預貯金に関して解約・払戻し手続きをした場合でも、それだけで処分行為として認定される可能性は低いと思われます。
但し、その払い戻したお金を私的に消費してしまったような場合には、当該行為が処分行為とみなされて相続放棄ができなくなる可能性が高いです。
相続放棄を検討している場合には、預貯金の解約・払戻しはしないことが賢明ですが、もし解約等してしまった場合には、そのお金には一切手を付けずに保管しておくことをおススメいたします。
相続放棄ができるのとできないのでは、相続財産に負債等がある場合の結果にかなり影響してきます。
相続放棄を検討しているのであれば、相続財産については何も手を付けず、事前に司法書士に相談するのがいいかと思います。