異母兄弟(異父兄弟)は相続人になりますか?
ケースによっては異母兄弟(異父兄弟)も相続人になることはあります。
なお、異母兄弟(異父兄弟)とは父母のどちらか一方のみを同じくする兄弟姉妹のことを言い、“半血の兄弟姉妹”とも言います。
半血の兄弟姉妹の相続分は、全血の兄弟姉妹の相続分の半分です。
一方で、非嫡出子とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことを言います。
非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同等です。
以前は非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とされていましたが、法改正によりと平成25年9月5日以降に発生した相続(平成13年7月1日以後に開始した相続で、既に遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除く相続)に関しては、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じとされました。
これらは混同しやすいので、まとめていくつかケースを見てみましょう。
【異母兄弟(異父兄弟)や非嫡出子のいる相続分の具体例】
① 親が死亡したケース①(嫡出子のケース)
② 親が死亡したケース②(非嫡出子のケース)
③ 親が死亡したケース③(非嫡出子のケース)
④ 兄弟姉妹が死亡したケース①(異父兄弟・半血兄弟のケース)
⑤ 兄弟姉妹が死亡したケース②(異母兄弟・半血兄弟のケース)
⑥ まとめ
親が死亡したケース①(嫡出子のケース)
父死亡。
父には母と子AとB。
父には前妻との間に子Zがいる。
上記の場合、Zは父の嫡出子です。
つまり、父の法定相続人は「母(相続分6分の3)」と「子AとB(相続分各6分の1)」と「子Z(相続分6分の1)」です。
※ 子ABから見れば、Zは異父兄弟(半血兄弟)ですので、「Zの相続分は子ABの半分ではないの?」と思うかもしれませんが、本ケースでは被相続人は父なので、異父兄弟(半血兄弟)の概念は出てきません。
異父兄弟(半血兄弟)の相続分が問題になるのは、兄弟姉妹の相続(下記【兄弟姉妹が死亡したケース①②】)の場合です。
親が死亡したケース②(非嫡出子のケース)
父死亡。
父には母と子AとB。
父には以前の内縁の妻との間に認知していない子Zがいる。
上記の場合、父の法定相続人は「母(相続分4分の2)」と「子AB(相続分各4分の1)」です。
Zは非嫡出子となりますが、被相続人である父から認知されていないので相続権はありません。
親が死亡したケース③(非嫡出子のケース)
父死亡。
父には母と子AとB。
父には以前の内縁の妻との間に認知してる子Zがいる。
上記の場合、父の法定相続人は「母(相続分6分の3)」と「子AB(相続分各6分の1)」と「子Z(相続分6分の1)」です。
Zは非嫡出子ですが父から認知されているので相続人となります。
兄弟姉妹が死亡したケース①(異父兄弟・半血兄弟のケース)
A死亡。
Aは独身で子供がいない。
Aの父母も死亡している。
Aには兄が1人いる。
Aの父には前妻との間に子Zがいる。
上記の場合、Aには相続第一順位である子供がおらず、第二順位である親もいないため、第三順位である兄弟姉妹が相続人になります。
また、Zは異父兄弟(半血の兄弟)です。
つまり、Aの法定相続人は「兄(相続分3分の2)」と「Z(相続分3分の1)」です。
兄弟姉妹が死亡したケース②(異母兄弟・半血兄弟のケース)
A死亡。
Aには配偶者がいるが子供がいない。
Aの父母も死亡している。
Aには兄が1人いる。
Aの母には前夫との間に子Zがいる。
上記の場合、Aには相続第一順位である子供がおらず、第二順位である親もいないため、第三順位である兄弟姉妹が相続人になります。
また、ZはAからすると異母兄弟(半血の兄弟)です。
なお、配偶者は常に相続人になります。
つまり、Aの法定相続人は「配偶者(相続分12分の9)」と「兄(相続分12分の2)」と「Z(相続分12分の1)」です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
異母兄弟(異父兄弟)、半血の兄弟姉妹、嫡出子、非嫡出子など、多くの身分関係があり、被相続人が誰かによってもその見方は異なってきます。
法定相続人が誰なのか、そしてその相続割合はどうなっているのかは慎重に見極める必要があります。
遺産分割協議は相続人全員によって行う必要がありますし、法定相続分がいくらなのかによっても相続の内容が変わってくるはずです。
その判断は一見簡単なようですが、実は奥が深い部分でもありますので、お近くの司法書士に相談することをおススメいたします。